わたし的感覚Vol.6「いまでも魔法の世界にいける気がしている」

坂道や階段を見かけると、魔法の世界にいけそうな気がする。

いや、お前何いうてんねんって感じかもしれないけどこれが本気なのだ。親が共働きだったおかげで、小学生の頃から休日は図書館に通っていたのだけど、もっぱらファンタジーものが好きだった。

ありきたりだけどハリーポッターやナルニア物語など魔法を使うものや、怪盗クイーンや夢水清志郎など怪盗や探偵が出てくるものも大好きで大好きでたまらなかった。

小さい頃から魔法の世界の妄想が止まらなくて、自分の肩に妖精がいる想像をして心の中で妖精に語りかけながら日々を過ごしていた時もある。

そうやって願っていたらいつか本当に現れるんじゃあないかなとか思ったりもしていた。

その反面、「いや、そんなことあるわけない」と言っちゃう自分もいる。

夢見るロマンチストのくせに現実主義という相反する性格なのが本当に厄介なやつなのだ。保育園あたりで、すでにサンタクロースはこの世にいないと理解はしていたし。

だけど、やっぱり今でも小さな路地の階段や、クローゼットの中、古書店に並ぶ分厚い本を見ると、どこか別の世界にいけるのではないかと胸が高鳴ってしまう。

東京は地元に比べてそういう場所が本当に多い。ちょっと歩くだけで、小さい頃に妄想していたような場所に遭遇するので、真顔で歩いているけど実は心の中「いやこれ絶対異世界いけるところじゃん!?」とかめちゃくちゃ叫んでたりする。

もう生粋のファンタジー好きで、ヲタク気質で、中二病なのだ。昔よりもそういう本を読まなくなったから、妄想することはなくなってしまったけど、本でも映画でもやっぱりファンタジーが一番いい。

ファンタジーの何がそんなに好きなのか改めて考えてみたら、主人公が選ばれる瞬間が好きなのだと気づいた。

ハリーポッターでいうと、組み分け帽子がハリーをグリフィンドールに選ぶ場面とか、賢者の石がいつのまにかポケットに入っている場面とか。

そう考えたら、きっと私も何かに選ばれたいんだろうなあ、と。心のどこかで自分は選ばれる人間なんだと信じているのだと思う。それは魔法の世界ではなく、現実世界で。

大好きな人のパートナーに選ばれたり、自分の文章が誰かの心を届いたり、そうやって少しでも新しい世界にいけることをひたすら願っているのだと思う。

でもこの現実世界には、異世界にいける扉も、本も、呪文もない。

願うだけじゃあ、叶わないことだらけだ。

そんな世界の中で「選ばれたい」なんて悠長なことは言っていられないよね。

 

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さどまち

さどまち

1994年生まれ山口出身、台湾のハーフ
日常や感情を切り取るエッセイスト/写真家
エッセイメディア「MIMIUCHI」を運営。
会社員をやりながら撮影したりエッセイを執筆。

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