わたし的感覚vol.4「秋になると昔を振り返りたくなるらしい」

秋の風が吹くと、なんだか心が寂しくなるのは私だけではないと思う。

「平成最後」と、たくさんの人と色んな場所に出かけた夏は気づかないうちに終わっていた。どことなく夏にざわざわしていた層も秋になって落ちついたような気がする。

そういえば、この前歩いていると、ふと金木犀の匂いがした。この匂いを嗅ぐと中学校の頃を思い出す。登下校の道に金木犀だけでなく銀木犀も一緒に結構な面積で植えられていたのだ。

小学生の頃であれば、ティッシュに花を包んで筆箱の中に忍ばせていたのだけど、中学生のときは本を読みながらよく歩いていたので、顔をあげないまま「秋だなあ〜」と心の中で呟いていた。

強制的に記憶に刷り込まれるような、強烈なこの匂いとはまた別に季節を感じていたものがもう一つある。帰り道の横に広がっていた田んぼだ。

稲がいわゆる稲穂に変わりそうな頃に「こいつらが全部茶色になったら受験かあ」なんて思いながら歩いていた。

大人になってからは植物を通して季節の変わり目を感じることが減った気がする。というか、そういうものにそもそも目がいかなくなってしまったのかもしれない。

田舎から都会へ念願叶って出てこれたからなのか、道を歩いていても植物よりも「あ、ここのカフェお洒落だなあ」ということしか思わなくなった自分がなんだか悲しい。

昔を懐かしむって今を生きていないような気がするからやらないように意識していたけど、こうやって文章に書かなければいつか昔のことも忘れてしまう気がするので定期的に書いていきたい。

今の私は昔の私がつくっているのだしなあ。

 

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さどまち

さどまち

1994年生まれ山口出身、台湾のハーフ
日常や感情を切り取るエッセイスト/写真家
エッセイメディア「MIMIUCHI」を運営。
会社員をやりながら撮影したりエッセイを執筆。

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