「駅名で思い浮かぶ人」がいる都市

昔から基本的に乗り物に弱く、特に小さい頃は車の匂いを嗅ぐだけで酔っていた。

酔わないように生み出した技は「とにかく寝る」こと。昔は特に、人の太ももに頭を預けて眠るのが好きだった。

母や姉、大好きな従兄弟の太ももの上は幸せが溢れていたし、自分だけの特別な場所のように思えた。

 

そんなことを繰り返していたら、いつの間にか車の振動を感じただけで、スッと眠りにはいるようになってしまっていた。

なので、「運転してもらってるんだから寝るのは失礼論争」がおこるたびに、怒られそうなので存在感を消すことに徹している。

社会人になってからも、部長が運転してくれる車の中で爆睡をかましているので、治す気はない、というかもう本当に治らない。(だって眠いんだもん…)

東京に出てからは、車に乗る回数が減るのと比例して、圧倒的に電車に乗る機会が増えた。

電車はかろうじて酔わないけれど、心地いい振動のおかげで、本を読んでいてもスマホをいじっていても、いつのまにかうつらうつらしてしている。

でも、そんな中でもなんとなく意識はあって、ゆかりのある駅につくとつい目をあけてしまう。

友人や、好きだった人、そして少し気になっている人の最寄駅のアナウンスを聞くと「ああ、あの人が住んでいる街だなあ」とまどろみの中で思い浮かべるのだ。

どれくらい東京で暮らすかは分からないけど、駅名で思い出す人がこれからもっと増えていくのだろう。

ただ、その時に思い浮かべる記憶が、悲しいモノよりも楽しいモノが多くなるといいなあ。

 

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さどまち

さどまち

1994年生まれ山口出身、台湾のハーフ
日常や感情を切り取るエッセイスト/写真家
エッセイメディア「MIMIUCHI」を運営。
会社員をやりながら撮影したりエッセイを執筆。

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